BLOG

ガラスの種類 No.34


掲載日:2022.05.26

最終更新:2022.10.13

ガラスは古代ローマ時代に建材(天窓)として使用されていることが確認されていますが、日本で建材として使用されるのは幕末以降のようです。大正時代~昭和初期の生産量の増加に伴い、住宅にも普及し戦後の経済成長に伴いより発展して窓にガラスが使用されていきました。一般的に窓に使用される透明フロートガラスは可視光透過率が90%程度(厚6mm程度)で大変透明性が高く光や視線はかなり通します。一方、埃・臭いは遮断し、音・熱もある程度遮断可能です。最近では複数のガラスで中空層を挟んだ複層ガラスがかなり一般的になってきており、断熱性能がかなり向上しています。

硝子の種類

現在、最も一般的なガラスと言えば透明フロートガラスですが、ガラスにも様々な種類があります。建築物において一般的に使用される主な板ガラスは以下のようなものがあります。

透明フロートガラス

最も一般的なガラス。※₁フロートガラス製法により表面は極めて平滑に仕上がる。可視光透過率は極めて高い。

※₁フロートガラス製法
錫とガラスの比重差を利用し、溶融した錫の上に溶融したガラスを浮かべて製板する方法です。約1600℃まで加熱し、溶融されたガラスを溶融錫の敷かれた炉(フロートバス)に流し込みます。ガラスは溶融錫の上に浮かびながら広がり、流れながら溶融錫の平面をガラスに写しとり、徐々に冷却しながら成形した板ガラスを連続的に引き出します。この引き出し速度を調節することで所定の厚みの平滑なフロート板ガラスが製造されます。例えば5ミリ厚ガラスの場合、JISで決められた厚さ公差は±0.3mm

網入りガラス

ガラスの中に金属製のワイヤーを入れたもの。ガラスが割れた場合ガラスが飛散しないようにしたもので主に防火性能が必要な部分(延焼の恐れのある範囲の窓やトップライト、ガラス製防煙垂壁など)に使用される。※₂ロールアウト製法により製造されるためロール型模様が写され表面は凹凸になる。透明度を高めるためには表面を磨く処理が必要。網入りガラスのうち表面を磨き平滑にして透明度を高めたガラスを「網入磨き板ガラス」という。磨き板ガラスとした場合でもワイヤーが透明性を阻害するため、高い透明性を必要とする場合は使用しにくい。

※₂ロールアウト製法
溶融したガラスを2本の水冷ロールの間に通して製板する方法です。 2本のロールの下側のロールに彫刻した模様が施されており、ガラスを2本のロールの間に通します。連続して模様を転写されたガラスは、徐冷窯に送られ一定の寸法に切断されます。

型板ガラス

表面を平滑にするフロートガラス製法ではなく、ロールアウト製法により製造されるガラス。表面にロールの型模様がつくため平滑ではない。光を通すが視線を遮る場合に多く用いられる。

強化ガラス

主にフロートガラスを熱処理して強度を高めたガラス。面的な衝撃などに対してはかなり強い。衝撃に強く万が一割れても粒状に砕けるため、出入口廻りや学校などで使用されることが多い。熱処理によってガラス表面が歪み反射した像が歪むため大きな面や連続したガラス面での使用では注意が必要。強化ガラスは製造工程で混入する不純物の硫化ニッケルが原因で自然に割れることがある。

合わせガラス

2枚以上の板ガラスを中間膜で張り合わせたもの。耐貫通性に優れるため、防犯ガラスや防弾ガラスなどとしても使用される。割れても中間膜によって破片が飛散しないため安全性が高く、割れることによって脱落の危険がある部分(手摺など)にも使用することがある。

複層ガラス

ガラスとガラスの間に断熱性能を高める目的で中空層を設けたガラス。一般的には同厚・同種のガラスを用いることが多いが、遮音性や遮熱・遮光を高める目的や防火性や防犯性、安全性を高めるために様々な組合せが可能。各種単板ガラスはかなりの大きさまで製造できるが、複層ガラスは単板ガラスを組み合わせるためにその製品サイズが単板ガラスと比較してかなり小さくなる。メーカー毎に製造できるサイズが異なるため、カタログなどで製品可能なサイズを確認しながら採用を検討する必要がある。

合わせガラスと比較される複層ガラス・強化ガラスとの違いは? 3つのガラスの違いをまとめてみました。

目的

特長

施工場所

合わせガラス

・防犯
・ガラスが割れた際のケガ防止
・防音
・おしゃれな目隠し
・2枚のガラスを使っており、間に樹脂膜をはさんでいる
・樹脂膜によってガラスが割れても穴があかないので防犯対策になる
・和紙をはさむこともできる
・玄関ドアのガラス
・戸建て住宅・マンションの窓
・店舗の窓
・パーテーション

複層ガラス

・寒さ・厚さ対策(断熱・遮熱)
・ガラスの結露対策
・2枚以上のガラスを使っており、間に空気の層がある
・ガラスより熱を伝えにくい空気層によって断熱性と結露防止力が高い
・戸建て住宅・マンションの窓
・オフィスビルの窓
・病院の窓
・学校の窓

強化ガラス

・ガラスが割れた際のケガ防止
・熱を加えた1枚のガラス
・割れるとガラスが粉々になり、破片が鋭くないので安全
・パーテーション
・テーブルの天板
・棚板
・キッチンの油はねガード

最後までお読み頂きありがとうございました。

また次回もお付き合いの程、宜しくお願い致します。

ご意見・ご感想などは info@999shimano.com

件名に「ブログ宛」と入れてお寄せ頂けると幸いです(^^)/

いいね! (1 投票, 平均: 1.00 / 1)
読み込み中...